美しいことば
その中にしずむもの
湖の底に沈む一つの石
美しいことば
その中に震えるもの
あなたと別れる昼のあの冷たい私の苦しみ
美しいことば
美しい海
美しい怒り と
 悲しみ
 ....
さかづきの

淵に浮かびし

面影に

なに問ふもなく

途絶えし夜更け

美しい言葉が沈む
星と大地に包まれ風が息を潜める

人は時間を持たない光になる

あると言うことは生きていると言うことだ
風も大地も水も
いのちは時間を持たない光になる
君が生きるというなら
わたしも生きることができる
ネブラツカヤの空に流れて
ぼくは死んでしまいたい

雲が浮かぶ
靴が転げる
ひとがあふれる
だれもいないのに

うたが
空に流れ ....
星をたくさん数えた
あれがヴェガ あれがアルタイル
星をたくさんおぼえた

そうして星をたくさんつなげていけば
いつかきっと
きっと

出会えると


数えきれぬ星のしたで

 ....
いつまでも
どこまでも
離れてゆく
その手と
この手

遠い
そのふたつのへだたりに
風が流れる
 水に
 浸されたゆびに
 からむ水草
 きらめく陽射し
ふたつのへだたりに ....
夕暮れよ 夕暮れよ
成層を疾け肌をよろこび
倒れ込む木々の力で風を呼ぶ 果てしなく
どこまでも墜ちてゆく静けさよ
力と

それら水のよろこびにうつり翳りの海を
満ちたよろこび

夕 ....
声がする
そこに

手をささげる

声がする

うつくしい声

うつくしい瞳

うつくしい日
どうして風はやむのだろう 静かに
(怒りに満ちた夜)
並木がささやく
──どうして風はやむのだろう

……あの星に
    あの昼に

落ちてゆく
人も車も
岩もビルも雲も
平衡 ....
その目


そのひそやかな
かなしみ よろこび
土のように
草のように
這うゆめ
翼は
灰色の空へ

海へ

(失うもの)

忘れる力
忘れぬ力

(沈 ....
風に舞い散るはなの
向こうに
海が見える
 
(ゆらぎ、
 湛え
 しめやかに
 能を舞う
 海
 謡い
 舞う
  ころも
 舞う
  いのち)  ....
木々
 
いくつもの いくつもの
あかるさと
ささやきに満ちて
 
水 と

眠り
 
よりそう風
はな と
こぼれ
触れる
空に
消える 影 ....
夏、わたしのさみしさへ
はぐれた雲がひとつその影をおとしてゆきました。
青い空はわたしのものではなく
雲はしずかにながれてゆきます。
そのあわいかげにいつか はなの
しろいひとひらがあらわれ ....
深い追憶のように
眠りがあなたの肩にやさしく降りてくる
わたしはちいさな歌をつくって
あなたのそばでうたいつづける

──約束だよ
  かならずもどって来てね

(あの日 静かな  ....
私の好きな雨のかたち雨のかたち雨のかたち雨のかたち
にふちどられた夕暮れふちどられた夕暮れふちどられた夕暮れ
ふちどられた夕暮れ

こんなときのために
きりんのくびはながいんだな
ごらん
あれはとても雨ににている
夾竹桃
その下に小さな蜘蛛がいて
そこにもやはり雨はしとしとと
濡れて
いるのだろうか

いい
匂いがする
眩しすぎた歌をうたえずに
鳥は地面に落ちました
 
時に捕まえられた腕の中に
忘れられた机と色彩で
画家の言葉が揺れました
 ....
 ノームの目には ほかに何も映ってはいなかった
 青い空
 白い雲
 風にざわめく木々の枝
 その目に写し取られた風景は まだ世界としての意味を与えられ
てはいなかった いまだどこにもい ....
魔法使いの女は星を司る蛇を探す
佇む兵士たちは闇夜を知ろうとして身を潜める
灯りの点った牢で捕らえられた彼らの膚に黙々と焼印を押す腕
悲鳴は押し殺された大地の果てに寒々と吹く
時は十二杯の ....
秋は
透き通った声に満たされた夜を僕らのもとに運ぶ
ほら、聞こえるだろう?
稲穂の群れに
目を閉じてじっと聞き耳を立ててごらん
星の向こうから僕らの時間を歪めているアンドロメダ
小さな ....
毎朝、夜からの氷の瞳を持った三人の娘たちの夢を紫色
に染めてゆく、背の低い北風の話し声。彼女らの膚から
絹を解いてゆく、そんな静かな叫びを愛しているほどに
フラスコから床に零れ出した、夕暮れ ....
砂浜

そこに咲いた白い花 少女は
けれどどこにもいない
青空に溶ける

たくさんの涙を数えた そっと
生まれ
離れる うた
空を流れる月日
水のように冷た ....
さきほどから
ちりん ちりんと
私の耳に響いていたものは──(どしゃどしゃと)
あれは空一面を覆った、暗く──(それはもう)
重く、どこまでも垂れ込める──(地面はぬかるみ)
 ──低い雲の ....
コーヒーカップを手に持って
中のコーヒーをながめていた
知らないうちにみぞれが降って
あたりはびちょぶちょ濡れている
暖かい部屋でコーヒーを飲んでいると それは
この世のものでないようだ
 ....
朝 起きてくると
窓越しに
遅く咲いた百合の花があって、
君はガラス越しにそれを見ていた
こちらを振り向くこともなく

 台所では
 しじみが口をあけてことりと音をたてる

僕は煙草 ....
花がさいたよ

どこか 風の中で
そんな声を聞いた
五月

娘はぼくの手を引いて
お歌をうたう

元気よく帰ろうね
わたくしたちのことばで
それはうた

わたくしたちのことばで
それはかぜ

こぼれるしずく
はなれ
かたられる
とき

それは

わたくしたちのことばで
真昼のみずうみ そ ....
その手は
私のために生まれた
私のために

私のために生き
私のために寄り添い

ねむり

私を愛した

その手は
私を愛した
(私を愛した)

夜がある
そこ ....
浅見 豊(28)
タイトル カテゴリ Point 日付
美しいことば自由詩2*18/7/19 23:31
さかづきの短歌0*18/7/18 2:01
うたわれぬうたのために自由詩3*15/7/24 2:49
空に自由詩014/2/24 1:04
いつかきっと自由詩109/12/17 2:04
在るために自由詩309/12/9 2:35
夕暮れよ自由詩5*06/6/2 3:13
忘却自由詩2*06/3/8 15:45
枯葉自由詩5*06/2/15 16:01
飛び立つ鴎自由詩6*05/7/2 1:55
さくらの散るころ自由詩2*05/4/16 3:54
生まれるもの自由詩2*05/4/6 23:47
わたしのさみしさは自由詩10*05/4/5 1:35
あなたに自由詩3*05/4/3 23:42
半端もののうたった唄自由詩2*05/3/27 22:39
夾竹桃自由詩7*05/3/25 1:18
人になった魚自由詩2*05/3/24 1:13
ノーム自由詩3*05/3/21 12:47
本棚自由詩3*05/3/20 15:06
風と星の歌自由詩3*05/3/19 2:39
夜明け自由詩3*05/3/17 23:47
自由詩2*05/3/14 15:37
ふるものは自由詩2*05/3/11 0:12
部屋自由詩0*05/3/4 23:20
蛍光灯がきれて買いに行く日自由詩9*05/2/19 0:51
かえりみち自由詩3*05/2/9 13:09
わたくしたちのことばで自由詩1*05/2/6 18:56
その手は自由詩1*05/1/30 4:08

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