何故あんなに物悲しい顔をしているのか
 美しい曲線を描いて

 過去のしなやかな背筋は悲しみにくれながら
 赤花の遠ざかる姿をただ見ているだけ
 
 一面の彼岸花の中で
 夕暮れの日差 ....
いつだって四季を知らせる窓は、一人の少年を反射している。
 彼の、人に溺死を強いるような空色の瞳には、赤黒く淀んでいる血液が映し出されていた。
「そうして君は永遠になる」
 永遠、嘘くさい言葉。 ....
 透明の鉄格子が罰を呼び、罪を阻害する
 赤、病める魂を込める格子は鮮やかだ……

 外に出たら俺は何をするのだろう?

 蜻蛉の目玉が現世と隔たり、
 幻影の母が夏の連続体を生み出した
 ....
 撹拌する青は喧しい。
 一人で騒ぎ、拗くれ、瘤になった。そうして青はうわばみになり駱駝となった
 一本のヘビは丸飲みされて胃液で溶けて無くなった
 胃液は程よい酸味を帯び
 書斎の檸檬も鮮や ....
池袋の西口公園
 横たわる知識の死骸
 かつての栄華はもうどこにもない
 風とともに去ってゆく 崩落した本の切れ端

 高層ビルの屋上で飛び降り自殺をリフレインする若者達
本を飲み ....
海月の吐息に呼応して、樹皮が呼吸をし続ける。
鮮やかな浴槽で、寝息を立てて死んでいる。
 
褐色の両腕を伸ばせば光は遠し、
水底に眠らば、浴槽に僕ひとつ。
 虚無から生まれる露草の空
 瑠璃に混じる雀鯛
 長方形に切り取られた夜の夢  
 
 海に浮かぶ星は
――まるで金平糖のようだ
――ああ、そうだな
  
 「またこの場所で逢おう」
 月の光が少年を飲み干して 枕元に血が滴り
 百足たちが遊魚のように飛び跳ねる

 全身が軋む
 恐ろしい夜
我が主、瑠璃の海から生まれ出で
 螺旋の円を描きながら、虚無の大地に降り立った

 私以外に誰もいない
 私以外に誰もいない
 私のために 私のために

 今の今まで生きてはみたが
  ....
 唾液の中で紛糾を結ぶ。
 飴玉の中で本質を隠す老人の眼玉は義眼で随分色褪せている。
 結ばれた線から記憶が流れ、君は宇宙の真理を見る。

 琥珀色の君の魂
 蝿がいつまでも死者を見ている
 ....
古具をふね(10)
タイトル カテゴリ Point 日付
彼岸花自由詩120/2/19 18:34
天上の窓自由詩2*19/2/28 19:48
わるいゆめ(故郷に思いを馳せている人の歌)自由詩018/5/26 22:13
自由詩2*18/5/17 13:38
およそ一万年後の東京都豊島区池袋 自由詩218/4/10 16:38
浴室自由詩018/4/3 20:01
夜の海自由詩118/3/27 23:57
満月自由詩7*18/3/26 22:24
白痴の王の孤独自由詩118/3/15 23:48
嚥下自由詩018/3/8 22:09

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