きみは私の部屋のベルを押した
宅配のひとかと一瞬思った
ひさしぶりに見たきみは
前より薄鼠色の鞄を片手に
「いままでありがとう」
と言う
「仕事を探している」
とも言う
きみのポケット ....
私は塔に住んでいた
いろんな小人が
訪ねてきたけれども
みんな
どういうわけか
鈍色の
ひき蛙に
変身してしまう

ある時わたしは
母の娘を
部屋に招き入れた
それは私自身では ....
 「ぶす」「不細工」と、散々ののしられた
あたしは、やっとの思いで、ハンサムな夫を
手に入れた。有頂天なのもつかの間、生まれ
たのは、自分とは似ても似つかない美人だっ
た。
 悔しい。あたし ....
ハチ公の前でまあちゃんと会った
まあちゃんは切れ長の目をしていて
虫眼鏡みたいなメガネをかけた旦那さんと
女の子の赤ちゃんを連れていた
まあちゃんのワイドパンツはゆったりしていて
初夏の風に ....
 私は、いつも親から周囲から、「優しい子
ね」と言われて育ちました。内心、それがと
ても得意でした。
 大学は、福祉学科を選び、まっすぐに精神
保健福祉士になり、障害者のお世話を、小さ
な作 ....
君がメールしてくるのは
いつも夜のとばりだった
お父さんが自殺して
君が錯乱して
精神病棟の独房に搬送されたとき
くすりを飲みたくなくて
自分で自分の欲望を刺激し過ぎて
脱出に成功したこ ....
 俺の親父は、頑固者だった。
「何故、こんな事も出来ん!」
 俺は決心した。いつか、T大に入る。そし
て、金をがっぽり儲けて、女に何不自由ない
医者になってやる。
 俺はがり勉した。体育はい ....
1964年9月25日
東京広尾の愛育病院の一室で
私は生まれた

新幹線開通の年
さびれた単線電車の最終駅のプラットフォームで
私は生まれた

東京オリンピックの年
アベベ・ビキラの ....
 夫が、首をつった。
 20年ローンの庭付き一戸建てを買って、
引っ越したあくる朝に。
 「俺はもう疲れた」と、一言遺書を残して。
 あたしたち家族は、毎日毎日、天井のシャ
ンデリアからぶら ....
あるところに一匹のりゅうがいました
りゅうはいつも一人ぼっちでした
りゅうの背中はペパーミントグリーンで
しっぽはなぜかショッキングピンクでした
りゅうは「ぼくのしっぽがへんな色だから
仲間 ....
いくつもの夜をくぐり
あなたと早朝の街路を肩を並べて歩いた
高架の上には
薄青い通勤電車が走っている

モーニングのある喫茶店で
一緒にハムとクロワッサンを齧った
焦げ茶色のベトナム珈琲 ....
かごの鳥は、かごのカギが開いているのに気がつきました。
そおっと戸を開けて、外に出てみました。
羽がよわっているのか、あまり飛べません。
でも、勇気を出して、窓の外へ羽ばたいてゆきました。
川 ....
花曇りの日に
晴れた道をとぼとぼと歩いた
(皆とお花見に私は行かない)
桜はあちこちで満開だった
小さな白いかそけき花が路上に固まっていた
(その花の名前を私は知らない)
春はあかるく
 ....
一瞬、モニターが見知らぬ男の画像で揺れた
髪型も眼鏡にも覚えがなかった
ただ、こんな日にやってくる人は他になかった
この震えるように寒い日に
灰色のセーターだけのひょろっと背の高い姿は
ぷつ ....
明日は大好きな人に初めて
お弁当を作る日なのに
疲れ果てて眠ってしまった
朝三時に目を覚まして
あわてて
寝床でタブレットを見て
クックパッドとクラシルと
デリッシュキッチンを検索した
 ....
二十年間眠っていた部屋を出て
作業所と言うところへ行った

おずおずと
「ユニクロの服って
安くていいですね」
と話しかけると
みんな変な顔をしている

誰もお料理がさっさとできない ....
君は夕方、疲れた足を引きずって帰宅の道を急ぐ
二十五年ローンで購入したマンションの影が街路にまで長く伸びている
そのシルエットを見て
まるで家族の棺桶そっくりだと君は考え
いやいや俺は疲れてい ....
毟るのです
毟るのです
私の血と肉を


ひよこは産毛がふわふわしてピヨピヨとおもちゃ
のように可愛いですが大きくなった若鶏は目がキ
ョトキョトして時々雄叫びを挙げて意志の疎通が
全く ....
私は部屋着の胸元にシフォンのりぼんをつけた
それから長い髪をりぼんで束ねた
引き裂かれたこころを隠すために
サテンのようにきらきらした詩を織った

でも夜になると
躰のりぼんがほどけてしま ....
あなたの腕は大きくて細かった
抱きしめられて暫く二人でじっとしていた
部屋にはイランイランの香りがたち込めていて
カーテンは静かな薄緑色だった

それから私は見た
あなたの腕が四方八方に伸 ....
なぐり書きの線
力強いストローク
一つ覚えと言えばそうかも知れない
どらえもん



ももももも

繰り返し繰り返し書くうちに
それは円になり波になり噴水になり
藍色の叫 ....
葉桜の散る道を二人でふざけた
109で待ち合わせして
くじらの竜田揚げを半分こして
円山町を通ってハードシードルを飲んで
また戻って
プラネタリウムで手を繋いでいちゃいちゃして
それから個 ....
この街の中心部の空はとても狭い。高層マンシ
ョンに遮られた霞む空。そんな薄青の雲の下で
生きている。時折くしゃみをしながら。これは
多分排気ガスで澱んだ空気のせいじゃない。私
自身の鼻腔が、肩 ....
その日私は内科にいた。
突然ぐらっと来たので
看護士さんは注射を中止した。
慌ただしく、電話や携帯が鳴る中で
お年寄りの患者の大半はぼんやりしていた。
外では女子高生が、揺れを怖がって泣いて ....
疲れ果てた
蒼白い顔、顔、顔、
なかなか動かない手足、
休憩ばかりの調理実習、
皆、腰を降ろしては
だるい体を懸命に動かしている
「またさぁ
薬増えたんよ 
今度は一日三十錠だって」
 ....
完璧な夜に
エメラルドグリーンのタッチペンを滑らせて
いつものサイトに辿り着く
男たちが
わたしを待っているから
臀部を
深紅の下着に包んだまま
LINEカメラで
素早く加工する
顔 ....
田舎のお母ちゃんから
メールが来た
これはお前のためだから
私は間違ったことは言わないから
必ず将来役に立つから
くどくど
くどくど
くどくど

新しいスポンジと
クールボディーソ ....
紅白歌合戦が中間集計に入って
TVのスイッチを切り
お風呂にちゃぽちゃぽ浸かっていると
除夜の鐘が聞こえた

慌ててタートルネックをかぶって
近所の神社へ出かけて
ぽんぽんと手を打って
 ....
あなたは崖のように険しく
父親のように暖かく
鷲のように孤独で
公園のベンチのように穏やかだ

あなたはここにいて
あそこにいて
そこかしこにいて
そしてどこにもいない

私は苺を ....
マンションの林立する森で
とある扉を見つけた
思い切って開けてみると
煌々とした黒い部屋があった
私は迷っていた
その人は私の手を取って
よく眠ること
少し食べること
ときに出掛けるこ ....
葉山美玖(33)
タイトル カテゴリ Point 日付
きみへ自由詩218/5/21 13:11
部屋自由詩8*18/5/19 3:55
ぶす自由詩118/5/16 19:06
まあちゃん自由詩418/5/16 19:05
優しい自由詩1118/5/13 10:07
夜と朝自由詩518/5/9 20:44
栄光自由詩3*18/5/9 20:42
生まれる自由詩9*18/5/7 20:23
なわとび自由詩7+*18/5/6 7:42
えばりんぼのりゅう自由詩3*18/5/1 22:18
蒼穹の朝自由詩718/4/29 15:34
神さまが落ちてくる自由詩10+*18/4/28 7:22
棄てられた花たちへ自由詩418/4/21 1:34
イブの夕刻自由詩8*18/4/20 7:02
お弁当自由詩10*18/4/17 18:56
まだ自由詩618/4/17 18:02
息子よ自由詩8+*18/4/13 23:35
聖家族団欒自由詩12+*18/4/13 0:55
りぼん自由詩14*18/4/11 0:12
自由詩15*18/4/6 1:01
YUICHI SAITO 自由詩718/4/4 6:19
あなたへ自由詩10*18/3/28 4:10
桜空自由詩15*18/3/20 21:27
あの日自由詩618/3/11 12:06
就労支援所自由詩19*18/3/9 22:43
夜の女神自由詩7*18/2/27 15:00
赤城山自由詩4*18/2/7 18:33
新年自由詩318/2/1 16:51
あなた自由詩10*18/1/25 15:54
自由詩7*17/12/6 5:55

Home 次へ
1 2 
ダウンロード
ダウンロードされるのはこのページの分(「きみへ」から「扉」まで)だけです。
うまくダウンロードできない場合は Windows:右クリックして保存 Mac:コントロールキー+クリック で保存してください。
0.24sec.