熱帯夜がはじまると
民家や道路やの光を
もいで
食べる
行儀のよい獣たちが動き出す

アスファルトの白線を遊んだ痕
そうだ彼女らは南からここへ来た
屋根が静かに揺れ
こぼした光の匂い ....
少しの時間
無人駅を貨物列車が掠めた
地吹雪が立ち
向こうの民家はより硬質に遠ざかり
電線が顔の横を通り過ぎた
視界はいなくなった
マフラーの中
熱い体だけが近くにあった
外で呆然と煙草を喫う
すると潮の匂いのする過去がやってきて
故郷の話をしていく
海は今、吹雪に荒れているのだろうか

私は人を知らない
海と樹と家々と……
私の愛したものはみな
美しい ....
香椎あい(3)
タイトル カテゴリ Point 日付
熱帯夜の夢自由詩218/8/23 22:12
冬の駅自由詩118/8/22 23:22
潮騒自由詩017/12/26 13:32

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