墓参りも行けずに
気になっていた京都の町は
無精者を待たずに
盛大な炎によって
結界の門を閉じる
雨と雷は
上賀茂さんが振り払った気がした
煙と一緒に
みんな登っていく
帰ってしまう ....
カードを切っているのは
何も考えたくないから

手触りだけで
ひと時真っ白になれる

占いなんて嫌い

数字や絵に意味を持たせたら
世界が終ろうとするだけ
深夜
誰かが窓を叩く

マンション11階
泥棒にしては行儀がいい

盆はまだなのに
誰か帰ってきたのか

そっとブラインドの隙間を覗くと
命を懸けて
光にたどり着いた甲虫だった
 ....
世界が荒れ狂ってる
星は均衡を失い
人は破滅に向かう
テレビの向こうで
終わりのない諍いが続いている
どうしてこんなことするの
どうしてだれも止められないの
必死で考えた挙句
思い出し ....
君が
何が幸せか知っていたら

私は
こんなに悲しくなかったのに。

いちめんのたんぽぽは
黄色く心に広がって

あの日つないだ君の手の
小ささを思い出させる。

 ....
舟を漕いで
午後に漂おう

夏の光が
足の指先に
届くほんの少し前

レースのカーテンが
時間を揺らすよ

忘れたものは
何かしら

思い出した声は
誰かしら

大切な ....
悲しいことしか思い出さないとか
馬鹿じゃね?

腐り始めた頭を軽くポンと叩いて
心地よい絵ハガキを
懐から取り出す

灯台が見える入り江で
水兵が煙草を吸ってる
女を待っているのか
 ....
世界っていうのは
自分に与えられた箱だから

自分はその中で
精いっぱい生きるだけだ

気持ちいいも
悪いも

自分の中にだけある
何もかも嫌になる日が
時々ある

自分で扉を
次々に閉めていく感覚

人が
嫌い。

自分が面倒くさい

被害妄想過多で
勝手に疲れている

ああ残念ながら
私はめんどく ....
ラムネって
響きが好きよ

夏の広い空や
夏祭りや
風鈴の音や
懐かしいことを思い出す

今は飼えないけど
いつか猫を飼って
ラムネって名前を付けたい

透き通った
空のよう ....
久しぶりに会った
一緒にお好み食べた

何も話さないのに
会わずにいた時間が埋まる

暖かい湯気の中
不思議だ

ぽっかり空いた時間が
埋まる
埋まる

二人は黙って
鰹節 ....
みんな同じだよ
私だけ特別なわけじゃない

そう思って
愚痴は誰にも言えなかった

ある日家族がみんな出かけて
一人の夜に

テレビを見ながら
ひとりごとを言った

私は無意識 ....
愛してくれて
ありがとう

って
心を込めて
10回言ってみて

誰が自分を愛してくれたか
わかるよ

私はわかった

あなただった  
冷たい雨が降る
十月のはじめ

肌寒くて
理由もなく悲しくなる

今年初めて
ヒーターのスイッチを押して

人生は幻だと思った
パスワード無しで
誰でも見られる

それは
疲れた日々に優しい

手書きのメモ
遠くに見える鉄橋
電車が夜の川を渡る

橋の向こうに
工場の煙突があって
紫色の煙を吐いていた

光が川面に映って
水の上を滑っていく

それは
寓話の挿絵のように見えた

 ....
六畳の部屋いっぱいに
写真を並べて
二人で黙って整理した
思い出は語らない

海の写真を 見せて
と言ったら
あなたがどの海?
と聞いた

今じゃなくて
私が死ぬとき

二人 ....
夜を越えて
どこへ行く
朝を待って
何がある
わからないから
荷物を詰めて
明日の海を見に行こう
闇の深さは
病みの深さ

手を取り合わないと
生きていけないハンパ同士

あなたが私を許すのは
誰かに許されたいあなたの闇

でもそれ
私じゃないね

あなたは誰に
許してほ ....
絵本に入るように
嘘をついた

幸せな嘘

私は善い人間で
悪い人は出てこない

みんなが幸せで

涙の味を誰も知らない 
だめなひと

いとしい


すまなそうにうつむいて

小さく笑う


もういいから

だめでいいから

わかってるから


そんなに小さくなるな

泣きたくなる  ....
夏の終わり
暑さだけ残して

太陽が少しずつ
遠くなる

街の中で
暑い暑いと言いながら

人のいなくなった海の面影が
頭の中でしまわれる

毎年同じ

何か忘れ物をしたよ ....
うちの取引先の
小さな町工場の社長さんは
うちの職人さんと古い友人で
入院先のベッドの上で
手書きの伝票を書いてくれる
おそらくはただ
その職人さんのためだけに
自分が書いているのだろう ....
去年の夏
海沿いの古い集落の
小さな宿に泊まった
窓から見えた自販機だけが
灯りらしい灯りで
ジュースを買いに出たとき
本当の夜を知った
すぐ近くなのに
宿の灯りが届かない
夜がこん ....
雨の日はいつも

どこかで
誰かが

泣いてる気がした

雨に濡れて
傘が無くて

ひとりぼっち



でも
泣いてるのは私だ
本当はアホのくせに
気難しい顔ばかりしてた
ああ優しい人
何も言わないで
ごはん美味しいねって言う
美味しいねって返事したら
すごい幸せそうに笑った
私なんてつまらない人間
もう生きて ....
懐かしい場所に
行きたい
ただそれだけだ
この街で
この場所で
日々遠くなっていく景色を
一目見たい
それだけ
海と
山の神社と
坂の階段にいる狐と
その角の魚屋の匂い
灯台
 ....
迷路のような
思考の洞窟
雨が流れ込む

蛇の目
邪なものが降ってくる

指を鳴らすと
洞窟ごと落ちるのかも
蛇腹になる

私は
指を
鳴らされるもの

でも
水は
 ....
何の音か
しばらくわからなかった

頭の中にも
外にも

激しい雨が降っていた  
猫の額を
そっと触る

狭い庭なんて嘘だね
安らぎの庭だね

猫が目を瞑る

猫の毛並みが
麦の穂波に見える目線で
私は横たわる

宇宙を漂う静寂にある
感情の浮き沈みのはる ....
ガト(267)
タイトル カテゴリ Point 日付
送り火自由詩1*22/8/17 1:58
ランスロット自由詩2*22/8/3 5:03
幽霊の旅路自由詩3*22/8/3 5:00
幼児還り自由詩022/8/3 4:56
たんぽぽ自由詩3*22/5/14 4:33
白靴下の猫自由詩1*21/7/7 4:50
MINT自由詩1*21/7/7 4:46
自由詩3*21/2/17 5:15
嫌になる日自由詩2*21/2/17 5:02
ラムネ自由詩7*20/12/18 3:58
いつもの店で自由詩4*20/11/13 4:47
ひとりの夜自由詩2*20/11/13 4:42
ありがとう自由詩020/11/13 4:40
神無月自由詩2*20/10/31 3:33
いとしい字自由詩020/10/31 3:32
神崎橋自由詩3*20/10/31 3:28
写真自由詩2*20/9/11 4:19
自由詩1*20/9/11 4:12
宝石自由詩1*20/9/11 3:48
小さい猫の本自由詩1*20/8/18 5:22
街灯自由詩3*20/8/18 5:17
サンダル自由詩2*20/8/18 5:14
伝票自由詩4*20/8/7 2:59
丹後ちりめん自由詩7*20/8/7 2:56
置き傘自由詩1*20/8/7 2:36
刺身蒟蒻自由詩4*20/7/28 3:12
8号線自由詩4*20/7/28 2:59
弾指自由詩1*20/7/28 2:51
自由詩1*20/6/20 4:28
金色の丘自由詩1*20/6/20 4:13

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