「何やら 嘘の匂いがするなあ」

なにか 一段と深い思い出の
あたしのよく知る 醜悪な思い出の一端によく似た
赤い女が 高く遠い 塔のてっぺんにいるらしい

その女の声は こんなにも遠く離 ....
「ふむふむ これは興味深い香りだなあ」

また迷い込んだ ここはどこだ??
それも 何か 笑えるくらい 混沌とした景色が降ってきている
あたしは 絵具板の上でも歩いているのだろうか

 ....
思い出の あの日誰かが飛び出した部屋に
何も言わず 黒に 片隅で尖る 少女がいた

「思い出の??
 いや、違うな 積年の、だな」

ゆっくりと 飛び出した 全ては持てずに
帰ると告げて ....
足の柔肌はつまむ 砂の心地よさ
立っているのは ひとりじゃないのに
眺めている ただひとり 

あたしは馳せる
思いの先に なにを見つめていた??

コツコツと貝住みは歩く 波間に
 ....
それは風のない 穏やかな間だった
宵や明けかも 滲んでいきそうな短なときに
例えば
「空にあるからこそ 星は星たり得るのか?」
彼らはそんな会話をしていた

あたしは空を探して 星を見 ....
肩に降る桃色が 暖かさを感じさせる頃
あたしは 何度目かの再会を果たそうとしていた

また ここへ来てしまった

柔らをつける 薄く甘い香りのアーチを歩く

「おねえさんは どこからきた ....
冷たい空に似合う、寒い雨が降っていた

暗いインクの道に街灯が流す 光の滝
その中で これまた同化しそうな程の黒い傘をさしていた

「こんな景色では 僕は帰れないね」

喜びの滲んだ ....
鮮やかな椿を思わせる香りを纏い
黒烏の羽 または夜のような髪を靡かせ その女は崖に立っていた。
服は果肉の赤。
見かけないものだが 昔に見た列を成して担がれている神輿に乗っている女が着ていたもの ....
あたたかににきらめく 光の雲が真下に流れ 金の流砂がせせらぐ 運河を眺めていた
いつからここに居るのか 忘れてしまうほどの長い月日を 星に結わえて 数えてきた

「冒険をして来たよ」

いく ....
錆びた赤空 夜に向かう悲しみ
あたしの通る道は ブリキの硬い道
薄桃のリボンをつけた猫が先導する

「どこまで行けば 巡り会える?」 

訪ねた声もかき消して 人の波の濁流
もう ここに ....
とかく、何も見えないほど濃ゆい霧が立ち込める花畑にて
あたしは、そこに老紳士が絶えず立っているのを知っていた

その老紳士は
タキシードにハットを目深にかぶり、白手袋をして真黒の漆光沢のある杖 ....
月を指差して とても綺麗な言葉を吐いた少女がいた
それはそれは綺麗なもので
真黒の風呂敷の中心に浮かぶ 銀にも負けぬ輝きだ

あたしは とてもとても聞き取ることに難儀し
とうには諦めてしまっ ....
ある夜 それはそれは窓の会話がひどくうるさい夜に
乱暴な風に乗り なにかが天井から落ちてきたようだった 

パーンと心地の良い音を鳴らし 森丘の低い頂上にやってきた
あたりは靄がかかるように  ....
クロヱ(13)
タイトル カテゴリ Point 日付
偽りで話す 赤い女自由詩118/9/7 20:25
偽りで話す 茶会自由詩118/8/29 4:55
少女の街自由詩118/7/10 15:42
滲みの島自由詩2*18/7/8 14:28
星の放民自由詩3*18/7/4 10:56
階段の桜自由詩017/12/7 8:13
雨夜にさす自由詩117/3/28 7:03
黒艶姫自由詩2*15/4/6 11:04
星の船から見る夢は自由詩2*15/4/5 22:56
暮々空自由詩2*15/2/13 0:50
虚空のひと自由詩3*15/2/5 0:32
月と会話した少女自由詩4*14/12/15 21:40
星石のこえ自由詩2*14/12/4 2:20

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