[600]田代深子[2007 09/19 00:52]★1
、興奮をかき立てる、あるいは癒す、と宣伝しながら売り買いされる。
それが物語の価値のすべてと思ってしまう人もあるだろう。だがそうではない。そうではないと言いたくてここまで書いてきたんだった。
感情描写の奥深くでしこるような不分明の感触。独特な言葉のリズム。矛盾へと導かれる複雑な想念。無念さ、陰鬱さ、敬虔さ。そうした分解不能のものを孕む物語は、何度読んでも、泣いても笑っても、消費し尽くされずわれわれを魅了する。それがよい作品というものだろうと思うのだ。
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