[35]田代深子[08/07 13:34]★1
有井いずみ「ひとふさの乳房を」について
自分の身体の一部に、違和を感じる場合がある。たとえば痺れ
きった足や切ったばかりの髪など、いくども指で触って確かめる。
それが自分の輪郭の一部だということは承知のうえで、むしろその
違和感を確認する。
乳房の重さとはいかなるものであろうか。それを持たなければ手
に余る大きな存在であろう。が、湯に浸かり、自分のそれを両手で
持ち上げるとき、むしろ軽さ、それから掌に乗るほどの小ささに、
すなわち自分の身体に収まる程度の存在であることに驚く。指は身
体の輪郭をいくどもなぞるだろう。エロティシズムが、この違和感
にともなって生まれてく
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