[662]クローバー[2015 01/20 23:26]★1
も、わかっている。なのにこの子は毎回、トイレに行く、そんな行き止まりに隠れても捕まってしまうのに。そうなるとわかっているから目を離さないようにしているのに、階段に視線をやった瞬間に僕の手をすり抜け、またトイレに向かって走り出し、僕に手招きをする。扉を閉め鍵をかけ、耳を澄ませる。靴音、複数。乱暴に扉を開ける音、目の前の扉をたたく音。僕は彼を抱き、息を殺す。数十秒の無音。音がしない。帰った。助かった。外を確認しようと振り向く、トイレの扉の上から中をのぞく男と目が合う。しまった…。で目が覚めた。また助けられなかった、と、しばらくボーっとしてしまったけれど、今までに子供を守ろうとする夢なんて見たことなかったし、あの子は知り合いでもなかった。
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