散文(批評随筆小説等)
坂下さん/MOJO
 
に応じると、坂下さんは待ってましたとばかりに、おそらくは新聞で仕入れた、プラント輸出、についてとうとうと語りだす。親方格の黒川さんは苦々しい表情で助手席に座ってタバコを吹かしている。ぼくたち三人はこれから東金にある京葉ホームセンターの改装工事現場に向かう途中である。
 たぶん坂下さんは、ぼくがこの工務店にバイトに来るようになった経緯を意識していている。ぼくがそう思うだけで坂下さんにはそんなつもりはないかもしれないが。じつはぼくの方はそのことをけっこう意識している。
 ぼくは大学をしくじり、父の紹介でこの工務店で働くようになった。工務店の社長はかつての父の上司で、脱サラしてこの店を立ち上げた。父
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