自由詩
氷の散弾にブルーハワイ/ただのみきや
 
舞いで窯は火を噴いていた
駆動できない機関車だった口をつぐんだまま
出勤しなければならない
いつも同じ珈琲を飲んで
いつも詩を飲み下す丸呑みでかまわない
そこには居ない耳元で囁く顔のないやつだそれだ
死んで年月がたったものがいい
ひょうひょうと言葉だけが一人歩きするのがいい
精を宿している
読む者から吸い取っているのだ
飛行機も落ちる八月だ
爆音が響くし炎上もする
回帰点だ 死者が主役になる
秋は酔わせ
冬は醒ます(そして不眠症患者の冬眠だ)
春は赤裸々に年月を従えて殺しに来る
現実とは突き付ける銃口だ
夏は記憶の螺旋を浮力を纏って落下する
太陽が刻む輪郭の欠け
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