[77]Lucy[2021 01/19 20:49]
地下牢へ下りる階段を見つけられない影たちが
明け方の薄闇にたむろして
逃げ惑う夢を見せたりするので
もうないはずの路地裏を
割れて半分埋まった甕の底や
捨てられた祭りの衣装が散乱する
廃墟のような裏道を
やみくもに走る
風もないのに
揺れる七夕飾りを下げたアーケード
どの店のシャッターもおりているのは
早朝だからか
そこがすでに終わった時代の街だからなのか
家電量販店のチラシが雑に折りたたまれて
壊れた自動扉の隙間に挟まっている
そこのわずかな道から風が
建物の内から外へと
吹いている
躓かないように転ばないように
地面の凹凸を凝視しながら
君は急ぎ足で来た道を戻る
戻ろうとすればするほど
見覚えのない背景が
芝居小屋で見た大道具のように
次から次へと立ち上がるので
君は道に迷っていると気づくのだ
はじめから覚えていないセリフを思い出そうとするように
君は棒立ちになる
ふいに誰かを呼ぼうとして
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