ポイントのコメント
[朧月夜]
小説と詩とはまず、まったく別物だという意識を持たなくてはいけません。 インターネット記事はインデントなしが基本ですが、小説であればきちんとインデント(冒頭の一文字開け)を設けなくてはいけません。 ただし、「」や()など(会話文や独語)を用いる場合、インデントは設けません(ネットニュースなどではあいまいになっていますが)。 それと、「!」と「?」の後は、一文字開け(一文字分スペースを入れる)。ただし、直後がカッコ(」)などの時には開けません。 「」(鍵カッコ)内の末尾に「。」(句点)は使用しない(これは、出版された本でも使用されている場合があるので、何とも言えません)。 「……」(三点リーダ)と「──」は、それぞれ2つずつ使用する。「…」や「─」のようにはしない。「・・・」や「...」とはしない。 もっとも、これらのルールが絶対というわけではありませんが…… 初めて散文として書かれたにしては、会話文と地の文のバランスもよく、整っているように思えます。 ただこれは、なんとか文章を成立させたいという思いと、詩を書いてきたことの慣れから来るもので、まだ本人でも自覚できていないスタイルなのだろうと思えます。 「小説家になろう」や「カクヨム」などでも、投稿される小説の文体のトレンドは揺れているのですが、例えば広告業界では「3行か4行ごとに改行する」「改行した際に空白行を設ける」といったルールがあり、ネット小説もその影響を受けている部分があります。わたし自身も迷っているところです。ネット小説をそのまま紙媒体で印刷すると違和感がありますからね。 ネット小説を目指しているのであれば、「本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜」や「この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる」などが参考になると思います。前者は「小説家になろう」で、後者は「カクヨム」で現在も公開されています。そうでなく、紙メディアでの小説の作法にならいたい、というのであれば、とにかく読んで読んで読みまくり、その文法やスタイルを学ぶという方法しかないでしょう。 読んでほしいだけ、共感してほしいだけ、という思いが強いのであれば、自由に書くということも一つの手ですが、文法や執筆のルールを理解していない投稿はどうしても軽く見られますし、当然収入にはつながりません(お金目当てに書く、ということをわたしは必ずしも推奨しませんが)。 とにもかくにも、小説においては詩以上に、句点、読点、カッコ、三点リーダ「……」などにも意味があるのだ、という意識を強く持ってほしいです。 基本的には迷いながら書いていけば良い、書くしかない、とは思いますが、わたし個人の感想としては、文法がしっかりしていない小説や散文は、ダメです。まず、「読んでほしい」「読んでもらう」という意識が足りないからです。散文作品は、詩のように自由な表現形態ではありません。自己流を貫くことは、むしろマイナスにしかならないのです。それでいて、内容やプロット、設定などはオリジナルで意外なものでなければいけない、という矛盾した要素を持っているのが、散文作品です。 わたしは何年かウェブ・ライターとして仕事をしてきましたし、詩人よりは散文家を目指していますから、厳しいようですが、アドバイスさせていただきました。何よりも言いたいことは、「文法を守ってください」ということです。これは、例えば詩的散文を多く執筆したヴァージニア・ウルフなども「;」(セミコロン)の使い方などに伝統的な使用方法を厳密に適用していたことなどから、影響を受けています。ヴァージニア・ウルフの散文はかなり自由ですが、それでも文法には厳密に従っていました。 内容面では、すでに書かれた作品を改定した、ということから、少し前のめりな表現(プロット)になっているような気がします。詩においては、何度も繰り返して読むことで内容を噛みしめる、という読み方が全然ありなのですが、小説とは基本的に普通一度で読み捨てられるものです(それを寂しいと感じていては、散文家はつとまりません)。読者が理解できること、……にもかかわらず、読者の予想を裏切ること、読者を驚かせること、といった小説的なトリックが必要となってくるのです。 この作品は私小説的な作品だと解釈しておりますので、わたし的に批判・ツッコムところはありません。リリーさんの思うままに書いて良いのです。むしろ、今のわたしも私小説の復権が大切だと思っています。例えば、ノーベル文学賞を受賞したアニー・エルノーや、私小説ではないのですが、自身の人生を小説に強く反映しているジュンパ・ラヒリなどのように、私小説的な作品が、今の文学界では強く求められています。芥川賞を受賞した、又吉直樹さんの「火花」などもそうですね。 最後に書きますが、「伝えたいという思い」と「文法」とを、しっかり守って書いてください。出過ぎた感想かもしれませんが、わたしは詩よりは散文に向いているので、あえて長く書かせていただきました。 追伸。散文を書きたいと強く望んでいるのであれば、やはり「小説家になろう」や「カクヨム」など、大手の小説投稿サイトに参加すべきです。それらのサイトがメジャーだから、というのではなく、繰り返しになりますが、詩と小説とは全くの別物だとわたしが考えているためです。そちらでも、あるいは内容面にたいする感想やアドバイスしかもらえないかもしれませんが、「詩と小説とは違う」ということを、やはり強く意識していただきたいと思います。長々と書きましたが、広告ライター(かつては文学を目指した者)としてのアドバイスです。わたしは、「内容」などどんな「内容」でも良い、文学とは文字を用いた造形である、という考え方をしているので、あえてこのようなコメントを寄せさせていただきます。 「書くことで己を知る」ということは、尊いことだと思います。その余白として、読者や文法についても気遣っていただければ、と思う次第です。 さらに追記になりますが、日本では「!?」の表現は半角で「!?」なのですが、欧米では「?!」と、それが逆になっています。さらにスペインなどでは、上下逆転した「?」などが用いられます。文法を守るということは、その国や地域における文化を守るということであり、おろそかにしてはいけないものだと認識しております。
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