ポイントのコメント
[たま]
平瀬さん。 拝読しました。 能く書けてますね。感心しました。シナリオとして完璧ではないかと思います。 イントロからもうすでに映画館に座っているような気分になりました。 若い僧侶の原付バイクに誘われて、すんなり物語に入ることができます。 最終選考での審査員の選評が分かりませんが、改稿以前の本作が最終に残ったということは素晴らしいと思います。 おめでとうございます。 もうすでに最終選考の常連になった平瀬さんに、最終選考を突破するための助言を差し上げたいのですが、ぼくの助言などなんの役にも立たないかも知れません。気になったところをいくつか上げてみます。 まずタイトル。横文字ですね。「ウエストロード」が京都の西大路通りに繋がるのだと思いますが、もうひとつピンときません。このタイトルから作品の舞台である京都に誘うのは無理があります。 例えば、海外で翻訳される日本人の小説のタイトルにはよく「TOKYO」が入ったりします。小説の内容とはまったく関係なくてもです。 それは海外で日本の小説を売り込むための戦略なのですが、なかなかこれは馬鹿にできません。売り込むためには馬鹿馬鹿しいことも必要です。 「世界の中心で、愛をさけぶ」というベストセラー小説のタイトルを考えたのは作者ではなく、編集者です。作者はこのタイトルを嫌がったそうです。でも、編集者は売り込むことだけを考えたのです。それでベストセラーです。 タイトルって大切です。タイトルだけで最終選考を突破できることができます。 つぎに、登場人物です。ヒーロー、ヒロイン、脇役、よく書けています。平瀬さんはほんとうにセリフが上手い。そこで、ネームです。 静真・・・読めません。映画はシナリオみたいに漢字が出てくる訳ではありませんが、選考委員はこれをなんと読んだでしょうか。シズマまたは、シンシンでしょうか。 ストーリーです。パチンコ屋の駐車場から始まる夢のようなラブストーリーです。その展開にワクワクします。特にふたりの初デートの場面はとても良かったです。ところがヒーローとヒロインのふたりとも死んでしまいます。まるでロミオとジュリエットみたいに。 ヒロインが死んでしまうラブストーリーには、賛否両論があります。平瀬さんもそのことは承知のうえで書いたと思います。 このシナリオは回想劇なのでふたりの死はイントロに出てきます。良い選択だと思いますが、ストーリーの展開が読めてしまいます。予定調和になってしまいますから、後半は盛り上がりません。ラストシーンを幻想的に描くことで着地点には成功していますが。 そのラストシーンは京福電車の車内です。そこで気がつきます。このシナリオの陰の主役はこの一両編成の電車なのです。西大路通りではありません。 平瀬さんは京都のことよくご存じだと思います。この一両編成の電車をもっと描いても良かったかなと。 最終選考で、審査員は各作品の底の深さを測ります。そうしてもっとも深い作品を入選作とします。さいごの決め手は作品の底の深さです。 審査員の選評をもとに改稿されたそうですが、それはテクニックの問題であって、作品の本質に迫るものではないように思います。 ぜひ、新作に挑戦して、今度こそは審査員をギャフンと言わせてください。 平瀬さんなら書けます。ここまで来たら、もうあとひと踏ん張りです。 頑張りましょう。ぼくも頑張ります。
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