少女式/今唯ケンタロウ
 
どそれは叫び声のように響いた。……
 少年の耳もとに、からからと確かに何かが一周する音が聴こえた。
 砂浜で、少女のまぼろしがゆっくりと海の方へ流れた。
 天使が、闇のなかに落ちた。
 ……だれのものでもなくなった歯車は、軌道をそれ、坂道を転げ下りた。「
 少年は、ついに吐き出した。
 それはちいさな燃え滓のように見えた。
 少年は、駆け出した。
 少年は、もう他ならぬ自分ひとりの力で走っているのだった。それが少し寂しいと思ったか知れないけど―― 少年は駆け出した。海の方へ。
 明けていく夜の海の向こうに、きらきらしたものが舞っているのが、まだ今なら見える気がしたので。







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