降り来る言葉 XXVII/木立 悟
 




三つの蝋燭が
互いを溶かしてかがやいている
まぶしさを覆うまぶしさが割れ
雪に重なり降りおりている
ふせた手帳から漏れ出す音
窓に凍り
窓を作る


花は花に会うために咲き
うたのままに土へ織られる
水に映り
水を止める手
陽のみを流し
見送りながら


右目の重さ
まばたきに湧き
終わらぬ水紋
虹彩をゆく
水に憑く 水に憑く
奥へ奥へひらく火の旗


はばたきの音 きしむ音
進みゆくたび
立ち昇る音
窓の火を掘り
光をうずめ
芽吹くものを見つめる音


空の後ろに満ちる花
脱いではまとい すぎる雨
手帳の道の浅い波
響きの星へ飛びつづける鳥
その姿もまた
響きつづける


影のなかの猫は去り
鳴き跡だけが雪を進む
三つの指に溶けてゆく道
銀は銀を飛び越えて
まばゆさはまばゆさに降りつもり
手のひらを緑の文字に変えてゆく














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