彼女の聖書/
なかがわひろか
暮れて
どうしてそれが書かれていないのかと
不思議に思いました
そして
少し
嬉しく思いました
自分は全てを知っているけれど
たった一つ知らないことが
あることに
聖書は
とても
嬉しかったのです
そのときの聖書の喜びようと言ったら
それはそれは
とても
愛しいものなのでした
聖書は
じっと
明日が来るのを
毎日毎日待っていて
それを記すように
なったのでした
(「彼女の聖書」)
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