小詩集【かなしみ】/千波 一也
 


のせられて





三 すくわれていたい、のに



あさがたに
いきかえるいのちを
つきはしっています

そうしてつきは
さかなのゆめを
おもっています

おたがいに
みるものがなければ
ただのあぶくですから
なんとなく
ちかい、の
です


けれどもよるは
かならずおとずれるよるは
ひとつのて、でさえ
うたがわせるので

みな
うらがわへと
わたります


 そのいとなみを
 だれかが「し」だと
 よびました


ときのながれは
むずかしいものです

すくわれても
すくわれ
なくても

そこ
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