小詩集【寄る辺なき歌】/千波 一也
 

いつになったら
尾が生えるかな

尾が
生えたら
生えた

面倒なのだろうけど
ぼくは
そうやって
届かない月の美しさこそ
この世で
いちばんの
哀しみであるのだと
信じて疑わない

なきごと、

わらわれても




三、洞窟ごっこ


傷口が痛むから、さ
舐めてほしい

大丈夫
ここは日陰にあたるから
だれにも
言わないかぎり
日陰にあたるから

唾液の匂いって
なんだか
魚の
鱗みたい

気にしなければ
気にしなくて
済むということ
罪かどうかは
さて置き
さて置き
置き土産

なぜなら次
[次のページ]
   グループ"【こころみ詩集】"
   Point(3)