小詩集【水没ハーモニー】/千波 一也
 

  懐かしいときが降りそそぐ

  記憶の日付が増えてゆくそのたびに
  しずくは
  こぼれて 波になる



  手のつなぎにおぼえる温もりのような
  その輪をなぞり
  たどり

  たやすく忘れてしまえるような
  些細なものをなぞり
  たどり
  波は絶えずにわたりゆく

  しずくは波になる


  しずくは波になる




   グループ"【こころみ詩集】"
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