近代詩再読 八木重吉/岡部淳太郎
 
 数多くいる詩人たちの中で、八木重吉ほど語りづらいと感じる詩人はそういない。何故だろうか。私だけの感じ方であるのかもしれないが、そんなふうに感じてしまう。おそらくそのあまりにも無防備すぎると思えるほど短く簡潔な詩型と相まって、当時の詩壇のどこにも属していないと思えるような独自性がそう感じさせるのだろう。
 八木重吉はその短い生涯のうちに、たった二冊の詩集を残したのみである(しかも、そのうちの一冊は、自選ではあるものの死後に刊行されたものだ)。まずは第一詩集『秋の瞳』(一九二五年)の冒頭の作品を見てみよう。


息を ころせ
いきを ころせ
あかんぼが 空を みる
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