水色の花/大覚アキラ
夏の終わりの淀川の河川敷の芝生は
生臭いほどの濃い緑に染まっていて
月曜日だというのに
真っ昼間からビールを飲みながら
バーベキューなんかやっているロクデナシどもが
ロケット花火を打ち上げていて
川縁の小屋に住む半裸のオッサンが
ニヤニヤしながら薄汚い犬を散歩させていて
わずかな日陰のベンチでは
ハゲ頭のサラリーマンが
仕事をサボって昼寝していて
鉄製のゴミ箱は
空き缶やマクドナルドの包装紙や
コンビニのビニール袋や弁当の空き箱や
そんなもので溢れていて
頭の悪そうな不細工なカップルが
芝生の上に並んで座って
汗だくになりながらイチャついていて
川の上を走る新御堂筋は
渋滞の車でびっしりと埋め尽くされていて
なんなんだ
この不愉快極まりない風景は
いっそのこと
ここに爆弾でも落ちてくればいいのに
そう呟いて足元を見ると
名も無い小さな水色の花が
凛々しく咲いていて
風に揺れていた
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