水色の花/大覚アキラ
 
夏の終わりの淀川の河川敷の芝生は
生臭いほどの濃い緑に染まっていて
月曜日だというのに
真っ昼間からビールを飲みながら
バーベキューなんかやっているロクデナシどもが
ロケット花火を打ち上げていて
川縁の小屋に住む半裸のオッサンが
ニヤニヤしながら薄汚い犬を散歩させていて
わずかな日陰のベンチでは
ハゲ頭のサラリーマンが
仕事をサボって昼寝していて
鉄製のゴミ箱は
空き缶やマクドナルドの包装紙や
コンビニのビニール袋や弁当の空き箱や
そんなもので溢れていて
頭の悪そうな不細工なカップルが
芝生の上に並んで座って
汗だくになりながらイチャついていて
川の上を走る新御堂筋は
渋滞の車でびっしりと埋め尽くされていて

なんなんだ
この不愉快極まりない風景は
いっそのこと
ここに爆弾でも落ちてくればいいのに

そう呟いて足元を見ると
名も無い小さな水色の花が
凛々しく咲いていて
風に揺れていた





   グループ"SEASONS"
   Point(5)