照夜 ?/木立 悟
 



氷の轍を駆ける鳥
ふいに枯葉のなかから飛び立つもの
朝の終わりを告げてゆく


遠く幻のように
冬の林がつづいている
常に空の色より暗く
風のなかに立っている


もう誰も驚かないことに驚き
見えるものを見
見えないものを見
涙する
雨が雪に変わるのを
笑みが光に変わるのを
  

人のまわりに咲きひらく円も
終わってははじまるものの目も
ただ那由多の腕の輪のなかにある
切れた弦と奏者のない音
星より遅く
夜を廻る


鳥のような生と死が
木々のはざまをはばたきながら
独り歩きつづけるものに微笑みかける
道はなく ただ夜があり
歩み入るものを
かがやくものを
受け入れる








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