メモ/はるな
 
。言葉を尽くして分かりあおうとするのは、もしかしたら愚かなことかもしれない。でもほかに心をつなげる方法がわからない。赤ん坊だった娘を抱いている時だけはすこし違った。娘の膝がまるく照らされて、箱庭のように光っているのを撫でてるだけでよかった。あそこにはまだ言葉がなかったから、とてもよかった。

でも私たちはみんなここに生きてしまったから、嘘から世界を見つけなければならないと思う。
娘がこのところわたしに呪いをかけるのだ。「ねーままぜったいにしなないでね。」「まま、はながしんでもぜったいにわすれないでね。」「まま、はながしぬまでしなないでね。」
わたしはいちいち、うんわかったと応える。


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