メモ/はるな
せまい壁と壁のあいだを行き来するボール、失速しながら遠のいていく。
そのようにして日々が行く、茂った葉も黄色く力尽きる。
もう二度と会わないと決めた人には簡単に遭遇してしまうのに、続けようとも思わない禁煙を2年している。2年のあいだに紙煙草はほんとにすっかり影うすくなり、あちらこちらの喫煙所が閉鎖された。
わたしはまだ飽きずに花を弄っている。秋薔薇は香りが良く、油断して近づくとするどい棘にさされる…こまかい傷はしばらく経ってから赤くなる。
「まるでなにか」みたいに時間が埋まっていく。
「まるで思い出みたいに」「まるで恋みたいに」「まるでそれが当然のように」…まるでもうぜんぶどこかで見たことがあるものみたいに。そしたら急にばかばかしくなって、おんなじことばっかり考えてたって別にいっか。
そう、むすめも一人で眠るようになった。ときどき夜中にわたしの寝床へもぐりこんでくる。わたしたちはもともと不自由なのだ、からだの中に押し込められているのだから。でも泳ぐことができる、それを知っていることが、自由でいるコツだ。
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