読むことのスリル──ひだかたけし小論(1)/朧月夜
ますまいことを。わたしも、紅茶を片手に、有り余る情報を他方の手に、氏の作品を批評できるのであれば、どんなにか楽だったでしょう……。
この序文の副題に、わたしは「時間について」という題を付けました。これは、何も読者を哲学の世界に誘おうとしているためではありません。わたしは、氏の詩を読んだ時、次のようなひとつの疑問に突き当たったのです。すなわち、「生まれながらの詩人はいるのか?」と。
「生まれながらの詩人はいる」「生まれながらの詩人などいない」──どちらも、もっともに思えるテーゼです。わたしは、わたし自身の信念に従って、「生まれながらの詩人などいない」という考え方に一票を投じたいとも思うのですが
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