祭祀クーラスとエインスベル(三)/朧月夜
 
「エインスベルよ、脱獄した感想というものは、どんなものだ?
 自由になった感想というのは?」嫌味でもなく、祭祀クーラスは尋ねた。
それに対してエインスベルは、「わたしは今自由ではない。
 わたしにとっては重い課題を負わされている。あなたこそどうなのか?」

「ふっ。我が身はクールラントのために全身全霊を捧げている身。
 自由などというものからは、程遠い。そこで、エインスベル。
 再度牢に戻る気持ちはないか? お前が姿をくらましてから、
 お前に関する裁判も引き延ばしになっている」

「それはすべて、貴方の事情でしょう。わたしには、わたしの道がある。
 裁判などはご免だ。収監中はあきらめていたが、
 今はこの通り、娑婆に出てきている。リグナロスのおかげで」

「リグナロス。ふん。リーリンディア監獄の裏切り者だな。所詮は小者……」
「本当にそうでしょうか? 貴方が実権を握っていると思い込んでいる、
 オーバ・ニーチェ。彼がその一員だとしたら?」
   グループ"クールラントの詩"
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