オーバ・ニーチェの戦士エイソス(三)/朧月夜
「はっ。今この時にも、我が国の臣民はドラゴンたちと戦っております。
しかし、それは他国も同じこと。どうしてこの時期に、
ドラゴンたちが降臨したのか、どの国の政治家も分からずにいます。
それは、我が国とて同じことです」戦士エイソスは流暢に弁舌をふるう。
「武人たちも同様に考えています。なぜ、自分たちがドラゴンと戦わねばならないのか? と」
そこへ、祭祀ウルムが話に割って入った。
「汝の言うとおりだ。この度の戦争は厄介である。
ドラゴンと敵対する者、ドラゴンを味方につける者。それぞれ混乱している……」
「そこでです。我が国はドラゴンたちを味方につけるべきだと思うのです。
それは、強力な魔導によってです」戦士エイソスが言葉を継いで言う。
「例えば……それは、エインスベルのような強力な魔導士によってということか?」と、ウルム。
「自分は賛成できません。エインスベルは罪を問われ、さらに脱走した身。
この国の未来を託すのは、いささか危険すぎるでしょう」と、マルコース。
「その方の言うことももっともだ。今は、エインスベルを取り込むべき時ではない」
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