ミーガンテ対エインスベル(二)/朧月夜
 
「国家とは何だと思う? エインスベル」ミーガンテは尋ねた。
「国家とは、人を守る受け皿です」エインスベルが答える。
「違うな、国家というのは生き物のようなものだ。
 その時々によって、姿を変えねばならない。お前の母は愚かだったのだ」

「それでも幽閉する必要はありませんでしたよね?
 それに、アイリースとミジェンヌを殺す必要もなかった」
「アイリースとミジェンヌは、とくにわたしに反抗的だった。
 どちらも、国のことなど考えてはいなかったのだ」

「それでは、貴女は国の事を考えていたのですか?」エインスベルは言葉を飲み込んだ。
「エインスベルよ、もう一度ここに帰って来い。これ以上クールラントに尽くす必要はない」
「それは、お断りします。クールラントはわたしの第二の故郷です」

「では、致し方ない。出(いで)よ」ミーガンテが叫ぶ。
そして、頭の二つある怪獣、メゾポンテがその姿を現した。
エインスベルは身構えた。メゾポンテは人の三倍ほどの背丈があった。
   グループ"クールラントの詩"
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