小さい恋の詩(三)/朧月夜
「あなたは年を経てなどいません。わたしは本気なのです」
「本気とは、どの程度の本気ですかな?
夫が戦で命を落としても、貞節を保てるほどの本気ですか?
それとも、次の夫を見つけ出すような貞節ですか?」
「どちらでもありません。わたしは、
あなたが戦で命を落とすなどとは思っていません。
あなたが老いて逝くまで、わたしはあなたに添い遂げるつもりでいます」
その決然とした口調に、アイソニアの騎士は驚いた。
「わたしが戦で死なないと、あなたは思うのですか?」
「そうです。謀略でもなければ、あなたを殺せるような者はおりません。
わたしは、そんなあなたを支えたいのです」
「良いでしょう。あなたが成人になったら、わたしはあなたの夫となりましょう」
アイソニアの騎士は約束した。そこに二言はなかった。
その時、アイソニアの騎士の脳裏にはエインスベルの面影が浮かんでいた。
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