開戦前夜(四)/朧月夜
そこで、もう一人の主役、戦士エイソスについてはどうか。
彼は北方の守備を任されていた。すなわち、
レ・スペラスの再侵攻を防ぐためである。
戦士エイソスはディペルスの街近くにある、アルザ・ノッテに陣取った。
その部下は、約八千人。クールラントとの戦いによって、
戦力を大幅に低下させたレ・スペラスに対しては、
この人数でも事足りるように思われた。
しかし、戦士エイソスは警戒を怠らなかった。
クールラントの高名な魔導士、ジャク・ガルデンを招き寄せたのである。
彼は、バルデ神の魔法の扱いに長けていた。すなわち、
結界をもってクールラントの街々を守ろうというのである。
戦士エイソスは、自分のふがいなさを感じるとともに、
クールラントが自分に与えてくれた援軍にも感謝していた。
エイソスは思う、「防御こそが最高の戦なのである」と。
前 次 グループ"クールラントの詩"
編 削 Point(1)