ファシの戦い(二)/朧月夜
ファシブルの魔導士(ウィザム)たちは、アースランテの軍勢と互角に戦った。
今、ファシの街が攻撃されているさなか、
魔導士(ウィザム)たちはドラゴンたちを駆り、
アースランテの軍勢を着実に葬っていった。
当初九万だった軍勢は七万になり、
アースランテの軍隊にも焦りが見え始めた。
そこで、ハッジズ・ア・ラ・ガランデは言う。
「マリアノスよ、なぜお前自身の力で戦おうとはしないのか?」
マリアノスは歯噛みをした。アルスガルデの正当なる末裔であるファシブルが、
新興国のアースランテに負けるなど、あってはならない。
魔導帝国は、ファシブル一国に集約されなければいけないのだ。
「ファシの民よ、アースランテの軍隊など恐れるに足らず。
我々は必ず勝つ。アースランテに奪われた領土も、いずれ取り戻せよう」
しかし、それが虚勢であることは、ファシの民たちにも分かっていた。
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