ヒスフェル聖国参戦(一)/朧月夜
アジェスの森における戦況は、ヒスフェル聖国の聖王である、
オアシム・ラ・ハグールの耳にも届いていた。
早馬の報せによれば、ラゴスとクールラントは苦戦をしているという。
クールラントはともかくとして、ラゴスが苦戦する。これは予想外の状況だった。
「このままの戦況が続けば、両国の同盟は瓦解するのではないか?」
オアシム・ラ・ハグールは国務大臣ナジェス・ガランドゥに尋ねた。
「そうでしょうな。そして、次の目的地は、クールラントでしょうか。
それとも、我が国ヒスフェル聖国でしょうか」
「余はアースランテのこれ以上の拡大を望まぬ。
もし、アースランテを阻止しなければ、ライランテの全土が戦場となろう」
「は。おおせの通りにございます」
「時に、正魔導士オスファハンはおるか?
彼に、今後の成り行きについて相談してみたいと思うのだ」
「承知いたしました。今すぐオスファハンを召喚することにしましょう」
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