ヒスフェル聖国参戦(五)/朧月夜
アースランテからの援軍と、ヒスフェル聖国の軍団が
出立したのは、ほぼ同時刻だった。
それぞれの起点から、アジェスの森までは、約二日の距離がある。
アースランテの援軍は、「豹の足」の呪文を使った。
今ここで味方と合流すれば、その数は八万五千。
ラゴスとクールラントの連合を破るには、十分な数だった。
その指導者である千人隊長、ノア・ゴルデスは必至の覚悟でいた。
(ラゴスを倒してこそ、アースランテの未来がある)
一方、アジェスの森では激戦が続いていた。
アジェスの森には、そのどこかにガラセラの樹が生えているとも、
言われている。しかし、その魔法素子はかなり薄くなっていた。
双方とも、魔導に頼った戦い方は出来なくなっていたのである。
歩兵と歩兵、騎兵と騎兵たちは、己の体力と技量だけで戦っていた。
両軍とも、ヒスフェル聖国が参戦したことはまだ知らなかった。
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