それぞれの戦い(十三)/朧月夜
 
そのころ、戦士エイソスはアイソニアの騎士の姿を探していた。
自国のために、と考えるエミル・アザルとは、一線を画した目的を、
戦士エイソスは持っていたのである。
それはもちろん、アイソニアの騎士の裏切りによる一件である。

「アイソニアの騎士よ、どこにいる? 我の相手をせよ!」
このころには、戦士エイソスは妖精ファロンの仕込みによって、
アイソニアの騎士への疑念を十分に募らせていたのであった。
「奴がエインスベルを悪の道に引き込んだのだ」戦士エイソスは考えた。

「アイソニアの騎士よ、どこにいる? 今こそ決着を付けよ!」
戦士エイソスは再び、乱戦の戦場のなかで叫んだ。
しかし、その声の通りは虚しかった。アイソニアの騎士は、

すでにアースランテという国家の一武将に過ぎなかったのである。
個人戦などに気を取られている暇(いとま)はない。部下たちの命を守ること、
敵軍を屠ることが、アイソニアの騎士の最大命題だったのである。
   グループ"クールラントの詩"
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