ファシの戦い(七)/朧月夜
ヨーラ・テルは、もっとも簡便にして優れた魔法である。
この雷撃の魔法によって、アースランテ軍はファシブルの兵士たちを葬っていった。
建物の物影に隠れて、ファシブル軍は反撃を試みる。
しかし、今やかつての屈辱によって、アースランテ軍は力をつけていた。
二年前の敗戦。そこからアースランテは立ち直ったのである。
民兵たちも、ミスフィオ・バッテを持って戦いに参戦した。
いかにライランテ戦争において敗北したからと言って、
アースランテの民たちは誇りを捨ててはいなかったのである。
魔導士たちは、ゼークト・ウラガ・ザインによって、
ファシブルの兵士たちを焼き殺していった。そして、
ドラゴンから降り立った剣士たちが、ファシブル軍の兵たちを圧倒していく。
ファシの街が陥落するのは、もう目前に迫っていた。
そのなかで、マリアノス・アリア・ガルデは焦る。
傀儡の女王と言っても、指導力は発揮しなければいけなかったのである。
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