囚われのエインスベル(十三)/朧月夜
「そして、次々にその位相を変えていく」リグナロスは言葉を継ぐ。
「それが虹の結界だ。どんな魔導士でも、この結界は破れない」
リグナロスはため息をついた。ヨランは意外だ、という表情をする。
「それでは、普通に脱獄すれば良いのではないですか?」
「無駄だな。魔導士の多くは、生まれながらにして魔力を持っている。
ことにエインスベル様の魔力は強大だ。
だが、虹の魔法石がそれに感応して、エインスベル様の魔力を封じてしまう。
魔法が使えなければ、魔導士などただの木偶人形だ」
「それは言いすぎでしょう。しかし、事は厄介ですね。
エインスベル様は今、魔法石を持っていません。
使える魔術の種類、そして強さも制限されてしまうでしょう」
「魔法を使ったとしても無駄だと、先ほど言ったであろう?
エインスベル様が自ら脱獄することは、不可能なのだ」
「それでは、地階にあるという魔法石を取り除いてしまったなら?」
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