盗賊ヨランとの契約(二)/朧月夜
「わたしたちは、虹の魔法石を探そうとしております」ヨランが言う。
「エインスベル様は、この虹の魔法石によって、監獄に封じられているのです。
わたしにも、実は確信はありません。これは一つの賭けなのです。
ですが、一人の監守が言いました。虹の魔法石が鍵を握っていると」
ヨランは、ためらいがちに一度首を振った。
「わたしは、オスファハン邸に忍び込んで、ある秘密を知りました。
今は、わたしの計略について、詳細を述べることは控えましょう。
騎士殿。世界というのは、常に流動的なものなのです」
「ヨランよ。お前はエインスベルの処刑を回避することが出来ると、
そう考えているのだな?」アイソニアの騎士は、確信を得たいと思う。
もし、この旅が無駄に終わるとしたら、わたしはわたしの生きる目的をも見失うだろう。
「一つ聞いておきたい。虹の魔法石とは何だ?」アイソニアの騎士が問う。
「それは……ハーレスケイドという幽冥界で得られる魔法石です。
きっと、虹の魔法石はこの世の理(ことわり)を変える力を持っているのです」
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