世界の変化、あるいは彼らの戦い(三)/朧月夜
「迷いは良い。お前は死すべき存在だ……」と、エインスベルは言った。
右の手には、クォータースタッフを携えている。
魔導士にしてはあるべからざる、戦闘的なあり様だ。
フランキスは、その右を、その左をうかがった。──エインスンベルは一人なのか?
どうやら、彼女は一人であるようだった。(ならば、わたしにも対処できる!)
そう、フランキスは一人ごちたのだ。その脳天より降って来る、雷(いかづち)。
「どうだ。ヨーラ・テルの威力は? この魔法は、魔導士の威力によって、
その力が変化するのだよ、フランキス! クールラントの裏切り者!」
「わたしは裏切り者ではない! わたしはクーラス様と……」
フランキスはのけ反った。その躯体の一歩手前を、雷撃の光が切り裂く。
「エインスベルめ! いかにして、あの牢獄から逃れてきたのか!」
フランキス・ユーランディアは、一歩、そして二歩と、飛び退った。
その様を、エインスンベルは悠然と見つめていた。「御身の命も、この時ばかりだな!」
エインスベルは言った。そして、フランキスの視界が消えた。それは一つの戦いが決した瞬間だった。
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