ハーレスケイドでの戦い(六)/朧月夜
いくつもの閃光が、エビ・グレイムの目から放たれた。
それは、ヨランたちが立っている大地に、火柱を生む。そして、衝撃。
──衝撃波は、盗賊ヨラン、アイソニアの騎士、そしてエイミノアを薙ぎ払った。
そして、地面に打ちつけられる一行。
「なんだ、この怪物は? ドラゴンと同じほどの力を持っている!」
「いえ、あれはエビ・グレイムという魔物です。
幾星霜かの間、あれはこのハーレスケイドをねぐらとしております」
アイソニアの騎士の怒声に対して、オーマルは冷静に答えた。
その冷めた調子を、アイソニアの騎士は苦々しく思う。そして、両手剣を取る。
「ここは、俺に任せろ、ヨラン! お前たちは先を急げ!」
「先を急げ、と言いましても……」(一体どこへ?)と、彼は思ったのである。
「ちっ。胸くそ悪い。まるで、我らがこの世界に捕らわれてしまったかのようではないか!」
「その通りです。あなたがたは、この世界に捕らわれたのです」──と、オーマル。
「そんなことは、今どうでも良い! それより、この化け物を倒す手助けをしないか!」
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