アイソニアの騎士とエランドル(十一)/朧月夜
「科学? その言葉も何度か聞いた。科学とは、一体何だ?」
「科学とは、そうだな。文明が行きついた、一つの到達点だった。
そして、人間を滅ぼす元ともなったものだ。分かるか?」
「分かりはしない。お前の世迷言など!」
「魔法素子とは、一種の機械だ。しかし、それは生きてもいる」
「機械とは、『からくり』のようなもののことを言っているのか?」
「そんな低レベルなものではない。世界を変え得る、魔法の箱だ。
人は、その魔法の箱を開いてしまった。そして、混沌が訪れた」
「言語崩壊に続く、千年の時代ですね?」と、ヨラン。
「そうだ。『種』とは、自ら滅びの道へと辿る宿命を負っている。
人も例外ではなかった。わたしは、それを回避しようとしたが、無駄だった」
「お前が、世界を救うために尽力しただと? 信じられん!」
「だが、そうなのだ。そして、わたしの試みは、未だ終わってはいない。
騎士よ、虹の魔法石を持って行くことだ。そして、エインスベルを救え!」
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