アースランテとの駆け引き(九)/朧月夜
「祭祀クーラスはつくづく間抜けだな。近いうちに命を落とすかもしれんぞ」
「それが、デーモンであるラーディガンと契約した国家ですか?」
「デーモン? 所詮は我々人間とは違う種族。
契約が身に合うのであれば、我々は何とでも契約する」
「しかし、祭祀クーラス様は強力ですよ。人を統べる力を持っている」
「罪人の一人、エインスベルを逃してもか?」
「あれは……裏切り者があったのです。エインスベルは、
正当な裁判で裁かれるべきでした」
「ははは。そうして、そなたの国家はさらに弱くなるのだな?
我が国では、エインスベルを味方につけるための方策も用意している。
そのためには……」ハッジズは、ここで思案顔になった。
「その方、友情と恋情では、どちらが重いと思うか?」
「いえ……分かりません。それが、今ここで関係ありますでしょうか?」
「大いにある」ハッジズは王宮すべてに響き渡るような声で笑った。
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