囚われたイリアス(六)/朧月夜
「傍流の傍流?」怪訝な面持ちになって、イリアスは尋ねた。
「そう。ライランテの支配者には、アイソニアの騎士がなれば良い。
わたしは、その中の一部の領土の支配者となる。
祭祀クーラスを排斥してね……」
イリアスにも、この男の考えが飲み込めてきた。
(この男は、権謀術数の塊だ。他人を常に利用しようとしている。
そして多分、自分は安全な場所から、事態を見守ろうとしているのだ。
しかしやがては……グーリガン様も亡き者にするのではないか?)
「いや。わたしは少し喋りすぎたようです。真に残念なことですが、
あなたには、今しばらく人質の役割を担ってもらいたい。
心配なさいますな。わたしがあなたを殺すことはありません」
(どうやら、この男は事態がどう転んでも良いように、算段しているようだ)
それは、人として生きていく上では邪道であり、危険でもある。
「分かりました。わたしは、人質の役割を全うしましょう」
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