二つの知らせ(二)/朧月夜
そのころ、祭祀クーラスの元にも一つの報告がもたらされていた。
すなわち、アースランテがファシブルに宣戦布告をした、という一報である。
「何だと? アースラテが今動く? それは早すぎる……」
祭祀クーラスは、珍しく顔色を失った。
そのとき、フランキス・ユーランディアも彼の傍に仕えていた。
「クーラス様。これは、逆に好機ではありませんか?
ラゴス、クールラント、ファシブルが一体となって、
アースランテを滅ぼすのです。ヒスフェル聖国も協力してくれましょう」
「いや、それはあるまい。わたしが得た情報では、
ヒスフェル聖国は、アースランテに協力しようとしている。
その鍵になっているのは、ハーレスケイドという幽冥界だ」
「ハーレスケイド? それはどんな場所なのですか?」
「選ばれた者だけが立ち入るこの出来る世界。この世の冥界だ」
「それが、今度の戦争とどんな関係が?」フランキスは尋ねた。
前 次 グループ"クールラントの詩"
編 削 Point(1)