アイソニアの騎士、立つ(一)/朧月夜
アイソニアの騎士は、盗賊ヨランからの情報によって、
イリアスがフランキスの人質にあることを知った。
そして、今はアースランテの国内にいると。
「祭祀クーラスめ、奴は何を考えているのか。
イリアスを今回の戦争の生贄にするつもりか?」
アイソニアの騎士はただ苛立っていた。
十三歳という少女を、戦争の駒にする。
それはあってはいけないことだと、アイソニアの騎士は思った。
「クールラントが、祭祀クーラスが、何を考えているのかは知らぬ。
しかし、幼いイリアスを戦争の道具とするとは!」
アイソニアの騎士自身も、今ではアースランテの戦士だった。
戦争に非道はつきものである。しかし、いたいけな少女を……
アイソニアの騎士は怒りに駆られた。彼の暴走も、
今ではまったなしの様相であった。「クールラント、許すまじ」
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