姫たちのお茶会 中/るるりら
【無口】
山高帽の男の顔は見えないが
どこにでもある石を缶詰のように
開けようとしている
男にだけにわかる匂いを閉じ込めたのは
誰なのか
日記帳の文字の旧字体が
机の上からこぼれ落ちそう
立派そうなことが書かれているかのようにも見えるが実は
埒もないことしか書かれてないのだ
愛を憎むための方法と 白鯨の食べ方
人里離れた別荘で鯉などを相手に暮らしていたが
なぜか今では同じ場所がレストランに改装されている
先日 珍しく どうも姉妹らしい客がきた
そういえば 一つ山を越えたあたりは開発が進み
開けた町が広がっているという
男は思い出して居た
男にもふたりの娘がいたことを
男は知らなかった 缶の密封に鉛が使用されていたことを
男は知らなかった 食せば死にいたることもあることを
********つづく**********
《姫たちのお茶会 上下 あわせて2016年四月企画の幻想詩30への投稿作品
【人間関係】/姉妹【舞台】/時間が交錯します》
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