すこし/るるりら
 
とんぼが にげない すこしも
とんぼの 目の中に わたしが
たくさん いるというのに

あぶらぜみが にげない すこしも
目線のたかさ で    なきはじめた
あぶらぜみ わたしは ここにいるというのに

にゅうどうぐもが にげない すこしも
なつのあるひ 夏は にげない すこしも


夏 刹那
いきとしいけるいのちが
たちどまる


いきものの脊椎が すこし うごく
中学校のグランドの土の下で 
背骨の髄は とけて
脊椎の髄を植物の根が つらぬいて
そうやって埋まっていたのは 人の骨
土の人となった人々の間を
すこし
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   グループ"Democratic Poems"
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