貝殻と港のある遠い夢に/りゅうのあくび
 
産まれたばかりで
まだ間もない
黒猫を拾う夢を見た
朝を迎える港で
潮騒が聴こえる

僕はその秋まで
確かに遠い港の桟橋にいた
すでに真夏が
終わる記憶のなかで
南太平洋の海風が
緩やかに吹いていた

夜空にほのかに
灯されたランプで
小さな帆船を照らしながら
まだ見習いの僕らが
作った夕食と先輩たちで
大騒ぎする宴会をやっと終えて
寝静まったばかり
真夜中を過ぎると
いつの間にか
朝の眩しい太陽が
挨拶をしている

びっしりと岸壁には
牡蠣の貝殻が
張りついていた
初秋の潮風は
塩分が強くて
穏やかではなかった

小さな黒猫を拾う
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