水滴を巡る追憶には/りゅうのあくび
 
水を飲み干すと
水分を含む大空の欠片になる
なぜだか遠い海の匂いが
ほんのりとして
ふたりの運命を見つけだす
愛のひと粒がある

ふと孤独ではない沈黙に
大きな水滴を巡って
追憶は呼び覚まされる
水分の結晶が
積もる雪化粧となる
大雪と引越が重なり冗談ではなくて
愛のひと粒をともに運ぶ
恋しい人と白い息をたて
眼差しの奥では微熱が生まれる
雪化粧は遠い海へと溶け出しながら
とても大きな雲になっていく

熱帯夜の大空を見上げる
入道雲がすでに
ふわりと通った跡がある
各駅停車が恋しい人を
ゆっくりと乗せて
到着するのは
いつになるだろうか
まだ遠く
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