業務日誌/竜門勇気
)の意思とは違うかもしれない。
子供じみた安易な感情論かもしれない。
しかし、俺は俺の現在に ”嘘” を持ち込みたくはなかった。この ”物事” は決して色あせてはならない。子々孫々に語り継がれなければならない。
ポケットの中のお守りを握り締める。粗末だが頑丈な ”ズタブクロ” のなかの俺の残された唯一の ”物事”
”ベストを尽くしたが、駄目だった”
を強く握り締めた。
俺は小さく今にも消え入りそうな ”彼女がそれをみて「次の花火が上がるまで、手・・・つないで待ってようか」と言った” を手のひらでそっと掴んだ。指の間から漏れる光がまだ凍える前の、温かかった自分の体温を
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